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ブックライターの定義
ブックライターとは、簡単にいえば、「著者に代わって書籍の原稿を書く人」です。書籍ライター、ゴーストライターといった呼び方もあります。
書籍の表紙や背表紙には、書籍名とともに著者の名前が記されています。けれど、その本は著者が実際に書いたとはかぎりません。実際には、ブックライターが原稿を書いている可能性があります。
ちなみに。
辞書などによると、「書籍」と「本」は同じ意味で、雑誌は書籍に含まれます。ただ、出版界隈では書籍と雑誌を分けて使われることが多く、次のような違いがあります。
《書籍と雑誌のおもな違い》
| 広告 | 刊行時期 | コード | そのほか | |
| 書籍 | 入らない | 不定期 | ISBNコード | 基本的に著者は1人(共著の場合は例外)、本のテーマは1つ |
| 雑誌 | 入る (まれに広告を入れない雑誌もある) | 定期 | 雑誌コード | 特集から連載企画までテーマはさまざま。 出演者・監修者も多数登場 |
ブックライターが存在する理由
「自分名義の本なのに、なぜ、著者は自分で原稿を書かないのだろう」
そんな疑問を抱いている方もいるかもしれません。著者によって事情は異なり、一概にはいえませんが、「本業が忙しくて原稿を書く時間が取れない」というのがおもな理由でしょう。
著者によっては、お抱えのブックライターがいる方もいるようです。なん度も一緒に書籍をつくっているブックライターであれば、著者の専門分野に精通しているでしょうから、インタビュー時にイチから説明する手間が省けます。著者の思考のくせや表現の好みなども把握していれば、原稿チェックをする際に修正が少なくてすみ、関係者の労力と時間を大幅に節約できます。
ただし、お抱えのブックライターがいる著者というのはあまり聞きません。出版社や編集プロダクションがあらかじめブックライターを用意しておき、著者とブックライターが取材ではじめて顔を合わせるケースのほうが多いのではないでしょうか。少なくとも私はこのケースがほとんどです。
出版社や編集プロダクションがブックライターに依頼する理由は、ひらたくいえば、「著者本人が書くよりリスクが少ないから」。著者に一般書の執筆経験がなければ、専門用語が頻出する難解な原稿があがってくるかもしれません。それに対して修正を依頼し、原稿を書き直してもらうのは、著者にとっても編集者にとっても精神的・物理的な負担が大きくなります。そもそも、本業が忙しくて原稿がなかなか完成しないリスクも多分にあります。
また、ダイエット本やエクササイズ本、レシピ本など、写真やイラストが多いタイプの書籍は、本文のほかにも小見出しやリード、キャプション(写真やイラストに添える原稿)などさまざまな原稿が必要となり、それぞれ文字数が決まっていたりします。
指定の文字数に合わせて原稿を調整する作業は、慣れていないと案外時間がかかるものです。そうした細かい作業を著者にお任せするのはしのびなく、かといって編集者自身が肩代わりする時間もなく、であれば、ブックライターにはじめから依頼したほうが効率がよい、という話になり、ブックライターにお声がかかるというわけです。
ブックライターが書いた本は“残念”!?
「著者本人ではなくブックライターが書いている」と聞くと、なんとなく残念というか、著者に裏切られたような、そんな気持ちになる方もいるかもしれません。ただ、ブックライターとしては「そんな気持ちになる必要はないんですよ!」と声を大にしていいたいのです。なぜなら、ブックライターが著者の言葉やエピソードを勝手に創作することは決してないからです。
ブックライターは著者本人になん度もインタビューをしてから原稿を書きます。原稿を書き終えたら著者が必ず確認をし、必要に応じて修正が入ります。書かれている言葉もアイデアも、すべては著者から発せられたものです。残念とか、裏切られたとか、そんな風に思う必要はまっっっったくありません。
私は、ブックライターという仕事は「翻訳」に近いと考えています。著者が語る内容は、ときに専門的すぎたり、複雑すぎたりします。それをわかりやすい表現や伝わりやすい言い回しに「訳す」のがブックライターの仕事なのです。
かつての呼び名は“ゴーストライター”
ブックライターという肩書きが使われるようになったのはごく最近です。かつては「ゴーストライター」が一般的でした。著者の代わりに原稿を書いたライターの存在が明らかにされることはほとんどなく、ゆえに「ゴースト」(幽霊)という呼称がついたのでしょう。
ブックライターという呼び方は、上阪徹さんが広めたといわれています。上阪さんはブックライターの第一人者。ブックライターとしての作品は60冊以上にのぼり、ご自身の名前で出版されている著書もあります。上阪さんの著書『職業、ブックライター。』(講談社)はブックライター必読の一冊です。
近年、出版業界においてゴーストライターは「ゴースト」ではなくなりつつあります。執筆に協力したブックライターの名前は、スタッフクレジットに「編集協力」「構成」として明記されるのが通例です。著者自身があとがきで、「ライターの〇〇さんにはお世話になりました」と謝辞を述べることもあります。
なお、書籍制作に携わるすべてのライターが「ブックライター」「ゴーストライター」を名のり、それを専業としているとは限りません。ライターとして書籍にも雑誌にも関わっているという方も大勢いるように思います。私自身、主軸はブックライターですが、雑誌や広報誌、WEBなどの取材・執筆も請け負っています。
NOTE
上阪さんは「上阪徹のブックライター塾」も開催されています。ブックライターになりたい方やブックライターとしてのスキルアップを目指したい方、あるいは、ライティング技術を向上させたい方は、ぜひHPをのぞいてみてください。
・上阪さんのWEBサイト
・上阪徹のブックライター塾

