フリーランスのブックライターとして仕事をしていると、「こんなとき、ほかの人はどうしているんだろう」と疑問に思ったり、「自分の原稿の書き方ははたしてこれでいいのだろうか」と不安に感じたりすることがあります。
会社勤めであれば上司や先輩や同僚に雑談がてら聞くこともできますが、一人で仕事をしているとそうもいきません。もちろん、本当に困ったときは数少ない知り合いの同業者にメールや電話で聞くようにしています。でも、「わざわざメールや電話をするほどでも……」というときもあるんですよね。
そんなとき、頼りになるのはやはり本です! というわけで今回は、ブックライタをめざすしている方におすすめの本を4冊紹介します。
CONTENTS
『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』

なぜ成功者たちは、著者だけに心を開いて、とっておきのストーリーを話してくれたのか? ベストセラー『成功者3000人の言葉』の著者が公開する、成功者に代わって本を書き、思いを人に伝えるブックライターという仕事。取材のコツ、書く技術、時間管理からギャラの話まで、プロとして独立できるノウハウのすべて。自分で本を書きたい人、文章を書いて食べていきたい人なら必読!
講談社HPの内容紹介より
ブックライターならご存じ、上阪徹さんの著書です。ブックライティングの仕事をぽつぽついただけるようになったものの、自分の仕事の進め方に自信を持てずにいたところ、偶然出会ったのがこの本でした。
私がとりわけ参考にしているのが、テープ起こし原稿の整理の仕方です。取材時の服装やら構成の立て方などもとても勉強になりました。ブックライターをめざしている方、ブックライターに興味がある方なら、とりあえず読んでおいて損はありません。
『重版未定』

出版とは何か? 編集者とは何か? 弱小出版社に勤務する編集者を主人公に、編集業務から営業、書店、取次まで、出版界の実態を赤裸々に描き出す。リアルすぎて泣ける出版業界漫画。
河出書房のHPより
マンガです。よく似たタイトルのマンガに『重版出来』(松田奈緒子/小学館)がありますが、まったくの別物です。マンガというには絵はつたなく、でも、それが妙にくせになります。なにより、出版業界(特に中小出版社)の内部事情を知るにはもってこい。業界用語の注釈も非常に秀逸で、「そうそう」「あるある」と共感したり、くすりと笑ってしまったり。編集プロダクションが舞台の『編プロ☆ガール』(ぶんか社)もおすすめです。
『文章は接続詞で決まる』

本書では、総論、各論、実践編の順に接続詞を追うなかで、接続詞の全体像を正しく把握していただくとともに、実際の文章を書くときに役立つ接続詞使用の勘どころについて、身につけていただくことを目指します。
「序章 接続詞がよいと文章が映える」より
原稿を書くうえで気をつけているポイントはいくつもありますが、個人的にこだわっているのが「接続詞」です。接続詞、難しいですよね。省きすぎれば理解しにくくなりますし、使いすぎれば冗長になります。
加えて、接続詞は書き手の「くせ」が出やすいような気がします。たとえば私の場合は、「〇〇だが」「〇〇ですが」というように、「が」を多用しがちで、それに気づけたのは本書のおかげ。以後、逆接の「が」は一段落に一回というルールを自分に課しています。ブックライターに限らず、「すっきりとしたわかりやすい文章を書きたい」という方は、一読をおすすめします。
『聞き出す力』

現代屈指のインタビュアーが、これまで接した著名人とのエピソードを通じて明かす、相手からいかに話を引き出すかのテクニック! AKB48に長渕剛、古舘伊知郎から森善朗元首相まで……と、ジャンルを問わない多彩な取材対象に鋭く斬り込むスタンスから導かれる抱腹絶倒&危機一髪のエピソードの数々が織り成す人間模様は圧巻。巻末には『聞く力』著者・阿川佐和子さんとの対談を収録、「聞き出す力VS聞き出す力」が実現! 『週刊漫画ゴラク』の同名連載を単行本化した刮目の一冊。
日本文芸社HPより
ライターは書くスキルはもちろん、インタビュースキルも求められます。書籍を1冊丸ごと書くブックライターならなおさらです。これまで多くの方にインタビューしてきましたが、「インタビューが得意です」とはとてもじゃないけれどいえません。毎回、とてつもなく緊張してじっとりとした汗をかき、テープ起こしの原稿を読んでは、「どうして、ここをもっと掘り下げて聞かなかったんだろう」と悶えます。
だからこそ、インタビュー術、質問力をテーマにした本はいろいろと読んできました。プロ書評家&インタビュアー、ライターの吉田豪さんの『聞き出す力』もその一つです。内容はインタビューのテクニックが4、インタビューの裏話が6といったところで、類書に比べれば具体的なテクニックは少ないかもしれません。ただ、本書の「取材相手が話す内容に関してのジャッジは読者に委ねる気持ちで」という一文(実際には小見出し)は、インタビューの至言だと思っています。
インタビューをしていると、相手の発言に「ん?」と思ってしまうときがあります。たとえば、男性の著者に「男は大変なんですよ」「女性は〇〇は苦手でしょう」といわれると、「なるほど」「そういう女性も多いかもしれません」と肯定しつつ、心のなかでは「いやいや、女だって大変ですよ」「〇〇が得意な女性もいますよ」と反論していたりします。
著者の思考やノウハウを代筆するのがブックライターの役目ですが、所詮は違う人間なので、反対意見を持つこと自体は悪いことだとは思いません。厄介なのは、反感を抱いてしまった発言を原稿にする際、どうしても葛藤が生じてしまうこと。書きながら、「私はそうは思わないけど」という自己主張が頭をもたげ、筆が止まってしまうのです。
でも、自分が賛同できないからという理由で、原稿からその発言を削除したり、内容を変えたりするのはライターの役割ではありません。著者の考えをジャッジするのはブックライターである自分ではなく、読者である。そんな大切なことを教えてくれた一冊です。
NOTE
今回ご紹介した本にはおよびませんが、本サイトもブックライターの方、あるいはブックライターをめざしている方に役立つコンテンツを提供できればと思っています。

