「いい文章」の定義は人によってさまざまで、時代や流行、書籍なのか新聞なのか、はたまたWEB記事なのかといった媒体によっても違ってきます。とはいえ、最低限クリアしなければならないポイントがあるのも事実です。「てにをはを正しく使えている」とか、「文法が間違っていない」とか、「読んでわかりやすい」とかですね。
表現力のあるなしも、「いい文章」を書くうえで重要なポイントではないでしょうか。グルメ記事で「おいしい」というフレーズが頻出していたら、読み手は稚拙な印象を受けますし、「この書き手は『おいしい』としか言ってないけど、本当に味がわかっているのか?」と疑うかもしれません。
では、どうしたら表現力を磨けるのか。個人的には、語彙力を鍛えるのが手っ取り早いと思っています。というわけで、今回は私自身が実際にやっている語彙力を増やす方法を紹介します。
CONTENTS
- 表現力を磨く方法その1|類語を調べる
- 表現力を磨く方法その2|コロケーションを調べる
- 表現力を磨く方法その3|類書から気になるフレーズをリストアップする
表現力を磨く方法その1|類語を調べる
原稿を書いていて、何度も同じ単語を使ってしまっていることに気づいたら、私はまず、類語辞典にあたります。紙の類語辞典も持っていますが、利用頻度が高いのはWEBの類語辞典です。私はWeblioを愛用しています。
Weblio類語辞典 https://thesaurus.weblio.jp/
たとえば「進化」という言葉を使いたいけれど、前後の段落で使ってしまっているので変えたい。そんなときはWeblioの類語辞典を開いて「進化」と入れて検索します。すると、「進展」「発展」「進歩」「エヴォリューション」「発達」「展開」などが表示されるので、適切な単語を選んで置き換えます。同時に反対語も調べられるので便利です。
表現力を磨く方法その2|コロケーションを調べる
コロケーションとは、
二つ以上の単語の慣用的なつながり。連語関係。
デジタル大辞泉
のことです。再び「進化」を例に挙げると……。ほかの段落で「進化する」と書いてしまったので、「発展する」と書きたいが、今度は「する」がかぶってしまうので変えたい場合は、「日本語コロケーション辞典 テストバージョン」のサイトを開きます。
日本語コロケーション辞典 テストバージョン https://collocation.hyogen.info/
「発展」と入れると、「発展が起こる」「発展をとげる」「発展をなし得る」などが表示されるので、好みのコロケーションを選んで文章を修正するという具合です。
表現力を磨く方法その3|類書から気になるフレーズをリストアップする
以前、ファッションブロガーさんの書籍のライティングを担当したときのことです。ファッション系の原稿を書くのははじめてで、「似合う」「おしゃれ」「すてき」といった画一的な表現しか出てこず、頭を抱えました。
そこで、ファッション雑誌を数冊買ってきて、「これ使える!」と思ったフレーズを片っ端から紙に書き出しました。試しに、手元にあるファッション誌からいくつか選んでみます。
・着こなしにリッチなスパイス
・きれい目な辛口感
・ハンサムセットアップ
・辛口カジュアル
・モード感あふれるエレガンス
・あえて着崩さないバランス
(以上すべて『CLASSY.』2020年12月号より)
書き出したフレーズを適宜修正して自分が書いた原稿に移植し、なんとか納品できました。
とまあこのように、やり方自体はかなりお手軽ですが、表現力に幅が出ますし、語彙力も自然とストックできてお得です。ぜひお試しください。
NOTE
読書していて「いいな」と思う文章やフレーズがあったら、日頃からメモしておくのもいいですよね。最近、向田邦子さんの食に関するエッセイをまとめた『海苔と卵と朝めし: 食いしん坊エッセイ傑作選』(河出書房新社)を読んだのですが、まねしたいフレーズのオンパレードで心が震えました(でも、不精なのでまだメモしていません……)。

