ブックライティングの進め方〈2〉|構成案の見直し&資料の振り分け

テープ起こし原稿と資料の整理がすんだら(ブックライティングの進め方〈1〉)、構成案の見直しと資料の振り分けを行います。この作業をせずに原稿を書きはじめると、途中で構成を修正する羽目になったりして、結局時間がかかってしまう可能性大です。ブックライティングはフルマラソンを走るようなもの。完走するには、事前の準備が欠かせません。

CONTENTS

2-1 構成案を再考する

テープ起こし原稿と資料の整理がすんだら、次に構成案を見直します。構成案は、その書籍のテーマをどのような順番で説明するのかを示す、いわばロードマップです。

構成案は、編集者がつくる場合もあれば、ライターがつくる場合もあります。私がこれまで経験した限りでは、どちらかといえば、取材前にまず編集者がつくるケースが多いでしょうか。編集者は取材前に著者と数回打ち合わせを重ねているので、打ち合わせをもとに構成案を作成。それを著者、ライター、編集部内で共有します。

取材も、基本的には構成案に沿って進めます。ただ、構成案はあくまでも「案」です。実際に取材してみて、「構成を少し変えたほうがいいね」という話になることも珍しくありません。そこで、原稿を書く前に、編集者とライターとで構成案を見直します。話の順番を入れ替えたり、トピックスを追加したり、反対に削除したりしながら、構成案をブラッシュアップするのです。

構成案を見直す際、私が留意しているのは次の4点です。

〇著者が伝えたい内容が過不足なく盛り込まれているか
〇内容が大幅に重複している箇所はないか
〇読者が理解しやすい構成になっているか
〇話の流れがスムーズか

上記に気をつけながら、構成案を修正していきます。

2-2 構成案の見直しには「秀丸エディタ」が便利

構成案を修正する際、私はテキストエディタの「秀丸エディタ」を使います。秀丸との出会い、秀丸の魅力、秀丸の使い方などについてはいずれ別の記事で熱く語るとして、秀丸で構成案を修正する最大のメリットは、内容の入れ替えが簡単なこと! これに尽きます。

たとえば、架空のダイエット本の原稿を書いているとしましょう。その構成案を秀丸で作成して階層分けします。階層分けはたとえばこんな感じです。

1章 いまなぜ、ダイエットが必要なのか
└ 1節 肥満の人が増えている
 ├ 1項 「肥満」の定義
 ├ 2項 「肥満」に該当する人が増えている!
 ├ 3項 「隠れ肥満」に要注意
∟ 2節 肥満は万病のもと
 ├ 1項 肥満が関係する病気①高脂血症
 ├ 2項 肥満が関係する病気②糖尿病
 ├ 3項 健康寿命を延ばすならダイエットが不可欠!

2章 ダイエット成功のための食事術
∟ 1節 そもそも人はなぜ太るのか
 ├ 1項 太る原因①カロリー
 ├ 2項 太る原因②糖質

秀丸ではいろいろと表示の設定をカスタマイズできるようになっていて、私は左枠に構成、右枠に本文が表示されるように設定しています。それぞれの項の見出しのあとには本文原稿が入りますが、左枠には表示されません(下記の動画参照)。

構成案をつくってみて、たとえば、「1章2節2項は、1章1節1項のうしろに移動させたい」と思ったとします。その場合、左枠上でドラッグ&ドロップするだけで移動できてしまうのです。さらに、項の見出しのあとに続く本文原稿も同時に移動できます。該当する箇所をコピーして、ページをスクロールして目的の場所にペーストする、その手間を省けるというわけです。

該当する箇所をコピーして、ページをスクロールして目的の場所にペーストするのは、短い原稿ならわけもない作業です。けれど、書籍原稿はとにかく長いので、スクロールするだけでもひと手間かかります。秀丸の階層ごと移動できる機能は地味ながら本当に便利で、一度使えば、この機能なしではいられなくなることうけあいです。

なお、この段階でも構成案は「案」にすぎません。私の構成案が甘いからでしょうが、原稿を書いてみてはじめて構成案の粗に気づくこともあります。そんなときは、はじめにつくった構成案にこだわりすぎず、適宜修正していきます。

「原稿を書いているうちに構成案が変わるなら、あらかじめ構成案をつくり込んでおく必要はないのでは?」と思う方もいるかもしれません。実際、構成案をつくり込まずにまずは原稿を書くという人もいるでしょうし、私自身、構成案を見直しせず原稿を書いていた時期もあります。

ただ、構成案というロードマップがないまま原稿を書くと、内容が重複している箇所や、話の流れがスムーズでない箇所が頻出しがちです。その結果、大幅な修正が必要になり、結局時間がかかってしまいます。構成案に沿って最初から最後まで一気呵成に書き、細かい修正はあとから加えていく。この方法が、私にとってはもっとも効率がよいのです。

2-3 構成にあわせて資料を振り分ける

構成案がかたまったら、ブックライティングの進め方〈1〉で整理したテープ起こし原稿を、内容が合致する項(構成案の例でいうと「1項」「2項」)にコピペしていきます。テープ起こし以外の資料は必要箇所をコピーして、どの項で使うのかを余白に目立つように書き入れます。「1-1-1 肥満の定義 資料」という感じですね。

この作業をとおして、各項にどんな内容が入るのかを把握しつつ、「この項は資料が足りないな」「この項はボリュームがあるから、二つの項に分けたほうがいいかも」など、構成案のバランスをチェックします。

なお、私は800字~1000字くらいの短めの原稿を書く際も、事前に構成案を考え、秀丸エディタまたは裏紙に書き出すようにしています。20代半ばくらいまでは、構成は頭のなかでざっくりと考えるだけで、すぐに原稿を書いていました。でも、途中で話をうまく展開できなかったり、話をうまく結論に着地させられなかったりして、煮詰まることが多かったのです。

それでもなんとかできあがった原稿を先輩にチェックしてもらえば、「論理が矛盾している」「内容が重複していてムダが多い」とダメ出しのオンパレード。むかしから書くことが好きで、「得意」だと思っていただけに、かなりへこみました。そんな私を見て、ある日、先輩がこういったのです。

「あなたは頭のなかだけで構成を完ぺきに組み立てられるほど、頭がいいの?」

このひと言は衝撃でした。「自分は頭のなかだけで構成を組み立てられる」。そんな驕りが、たしかに自分のなかにあったのです。でも、頭のなかだけで考えるのには限界があります。目で見えるかたちにして、全体を俯瞰してようやく気づけることがあるものです。以来、どんなに短い原稿であっても、まずは構成案を書き出すようにしています。

NOTE
次回、ようやく原稿を書きはじめます。