ブックライティングの進め方〈4〉|本原稿を書く(原稿マラソン2周目)

ブックライティングの進め方〈1〉ブックライティングの進め方〈2〉ブックライティングの進め方〈3〉の続きです。今回は原稿マラソン2周目、本原稿を書いていきます!

CONENTS

4-1 2周目突入前の準備作業

原稿マラソン1周目を終えたら、2周目に突入します。とその前に、次の作業を行います。

①構成の見直し
原稿を通しで書き終えて、あたらめて構成の粗に気づいたりします。そんなときは、章・節・項を入れ替えたり、新たに追加したり、削除したりします。構成が大幅に変わる場合は、版元に連絡して許可をとっておきます。

②追加取材
原稿マラソン1周目で書けずにスキップした箇所のなかには、「ここは著者に取材しないとどうにもならん!」というパートがあったりします。その場合は、恥をしのんで、追加取材をお願いします。

ブックライター歴10年くらいになりますが、いまだに、取材をした時点ではわかったつもりでいたのに、いざ書いてみると、「おおまかには理解できているものの、書けるほどにはわかっていなかった」と気づくことが少なくありません。

思うに、取材を進めるうえで必要な“理解の度合い”と、それを原稿にまとめるのに必要な“理解の度合い”は、大きく違います。「著者の話をさえぎらずにすむ程度には、概要はわかっている」程度の理解では、原稿は書けないのです。そうとわかっているのなら、追加取材せずにすむくらい、初回の取材時にしっかりと理解できればいいのですが、なかなかに難しく……。

いずれにしても、わからないまま当て推量で原稿を書いて提出するよりはましなので、どうしても追加取材が必要となった場合に限り、お手数をおかけすることをお詫びしたうえで、再度取材させてもらえるよう依頼をします。

③穴埋め
原稿マラソン1周目で保留にしていた箇所、追加取材で加筆・修正が生じた箇所を執筆して、原稿が書かれていない“穴”をひたすらなくしていきます。

4-2 推敲

①~③の作業を終えたら、いよいよ原稿マラソン2周目です。頭から順に読み、推敲していきます。

彫刻にたとえるなら(やったことありませんが)、木材をくり抜いて、おおまかな形(輪郭)をつくるのが原稿マラソンの1周目だとしたら、目鼻や衣装のひだとか、細かい部分を彫るのが原稿マラソン2周目です。

・読んですっと理解できるようなわかりやすい表現になっているか?
・前後の章・節・項の説明と矛盾していないか?

この2点を重視して、加筆・修正をしていきます。

4-3 表記の統一

表記の統一とは、「とき」という単語は漢字にするのか、それともひらがなで書くのか、数字は「一、二、三……」の漢数字にするのか、「1、2、3……」のアラビア数字にするのかなど、表記を一定のルールのもとそろえる作業をいいます。

私の場合はエクセルで自作した50音表に、単語ごとに決めた表記統一ルールを書き込んでいきます。たとえば、「と」の欄には「とる→すべてひらく」、「とき→基本的に開く。ただし、『時折』や『時の流れ』などは漢字にする」という具合です。以降、その単語が出てきたら、50音表の覚書にしたがって表記を統一していきます。

以前、ある編集者さんがツイッターで「ライターさんには表記統一ぐらいしてほしい」とつぶやいていて、「それは編集者の仕事だろ!」とつっこまれていましたが、私はできるだけ表記統一する派です。

4-4 語句の重複を減らす

個人的に、一つの段落や一つのセンテンスのなかで、同じ助詞・接続詞・指示語がくり替えされるのは好きではありません。そうしたディテールにこだわりすぎると原稿がなかなか進まないため、原稿マラソン1周目ではあまり気にせず書きましたが、この2周目で重複をできるだけなくしていきます。

ちなみに、私はワードプロセッサの「秀丸」を愛用していまして、文章中に次の語句が出てきたら、ハイライトされる仕様にしています。ハイライトが多い段落はそれだけ重複が多いことを意味しているので、単語を入れ替えたり、いい回しを調整したりして、ハイライトをなるべく少なくしていきます。

《ハイライト設定にしている単語》

逆接の接続詞系 だが・すが・たが・すが
 私も含め、逆接の接続詞を多用する人はけっこう多いです。できるだけ減らします。

接続詞|また・しかし・けれど
 こちらも多用しがちなので、使わなくても意味が通じる箇所は削除します。

指示語|そんな・その・そう
 指示語が続くと意味がわかりにくくなります。したがって、何を指しているのかを具体的に書くか、指示語がなくてもよい文章に書き換えます。

そのほか|こと
 たいへん使い勝手のいい語句です。ゆえに、気を抜くと頻出します。たとえば、「やることが多い」なら「やるべき作業が多い」などと変えて、できるだけ減らします。この「こと」の修正がいちばん難しかったりします。

4-5 文末の調整5

文末の重複も確認します。敬体(いわゆる「ですます」調)の文章の場合、文末はだいたい「です」「ます」「○○しょう」「○○ません」のいずれかですが、同じ文末が続くのはマックスで3回までと決めています。

「4-4 語句の重複を減らす」と「4-5 文末の調整」については、気にするあまり、文章がかえってわかりにくくなってしまう可能性も……。それでは本末転倒なので、例外でOKにすることもあります。

原稿マラソン2周目はやるべき作業が多いので、完走するまで時間がかかります。ただ、原稿マラソン1周目とは違ってゼロから書くわけではないので、原稿に向かうのは少しだけ気楽かもしれません。とはいえ、自分の書いたつたない文章にイラ立つのもしばしばで、そんなときは「おいおい、1周目の自分よ、もうちょっとましな文章書いといてくれよ!」とぼやきたくたくなります。

NOTE
6月中に更新をと思っていたら、6月が終わっていました。なお、このブログの原稿はそこまで厳密に推敲したりしていないので、文章が多少おかしくても目をつぶってやってください。