ブックライティングの進め方〈1〉、ブックライティングの進め方〈2〉、ブックライティングの進め方〈3〉、ブックライティングの進め方〈4〉のつづきです。いよいよ推敲作業に突入します!
CONTENTS
5-1 資料を読み返す
推敲に取りかかる前に、インタビューのテープ起こし原稿や著書などの資料をざっと読み返します。
テープ起こし原稿も著書も、原稿を書く際になんども見直しています。そのとき取り組んでいる原稿に必要だと思われる内容は、すべて使い切っているつもりです。けれど、原稿1周目、2周目は書くことに必死なので、まれに見落としがあります。
また、原稿をいったん書き終わって全体の構成を俯瞰できるようになってはじめて、「この内容も今回の本に使える」と気づくこともあります。
そこで、推敲前にいったん資料を読み返して、使える材料をすべて使っているかどうかを確認するわけです。構成案をなんどか修正している場合は、初期の構成案を確認して、抜け落ちている項目がないかも確認します。
もし、使えるのに使っていない材料や、抜け落ちている項目が見つかれば、原稿に追記していきます。
5-2 推敲マラソン1周目《パソコン画面での黙読》
いよいよ推敲の開始です。私の場合、推敲も原稿と同様に「周回マラソン」制で、推敲マラソンは、原則として3周行います。
1周目はまず、これまで原稿を執筆してきたテキストエディタ(私の場合は「秀丸エディタ」)で原稿データを開き、冒頭から読んでいきます。
原稿マラソンを2周終えているので、この時点で、「このまま納品しても、読めないことはない。多少の粗はあるものの、理解はできる」というレベルにはなっています。それでも、原稿の流れがスムーズでない箇所、表記統一されていない箇所が必ずあるので、そうした部分をひたすらつぶして(加筆修正して)いきます。
このとき、本文だけでなく見出しも推敲していきます。本文が長い箇所があれば、必要に応じて見出しを増設します。
5-3 推敲マラソン2周目《音声読み上げ》
推敲マラソン1周目を完走したら、全文をWordの新規ファイルに貼り付けます。つづいて、印刷の向きを「横」、文字列の方向を「縦書き」にして、文字数と行数を書籍のデザインフォーマットに合わせて変更します。
たとえば、書籍のフォーマットが1ページあたり40文字×18行なら、Wordは1ページあたり40文字×36行、つまり、書籍の見開き2ページ分=Wordファイル1枚となるように設定するのです。こうすると、「Wordファイルが計100ページだから、書籍になったら200ページくらいになる」という具合に、書籍のページ数を計算しやすくなります。
ただ、図表などが多いタイプの書籍で、「入れたほうがいい図表などがあったら、Word上に参考資料などを貼りつけておいてください」といわれた場合は、横向き・縦書き設定だと図表が見にくくなるので、縦向き・横書き設定にします。
わざわざWordファイルに貼りつけるのは、Wordの校閲機能「音声読み上げ」を使いたいからです。音声読み上げ機能は、その名のとおり、音声でWordファイルに書かれている原稿を読み上げてくれる機能です。
人工音声で読み上げられる原稿を「耳で」推敲していると、推敲マラソン1周目では見落としていた文字の重複(助詞の「て」を「てて」と2回タイピングしているとか)や、語順の間違い(「りんご」と打ち込んだつもりが「りごん」になっているとか)に意外と気づけたりします。
また、人工音声が抑揚なく読み上げているのを聞くと、「この文章は長すぎるな」とか、「この言い回しはわかりにくいな」といったことにも気づけます。
Wordの校閲機能に音声読み上げが加わる以前は、自分で読み上げたりもしていました。ただ、8万文字くらいの原稿をすべて音読するのは大変です(のどが疲れる)。なので、音声読み上げ機能は本当に重宝しています。もちろん、通常の文章校正機能も便利に使っています。
ちなみに、私が音声読み上げ機能で推敲するのは、大学卒業後の2年間、地方テレビ局でADとして働いていた影響かもしれません。ADとしてナレーション原稿を作成する際、先輩から「ナレーションは耳で聞くものだから、耳で聞いてわかりにくい難解な単語や言い回しは使わないように」と教わりました。
書籍は文章を「読む」ものなので、少しくらい難解な単語や言い回しを使っても読者は理解できます。けれど、度がすぎれば読みにくい、とっつきにくい文章になってしまう。それを防ぐのに、音声読み上げ機能を使った推敲は非常に有効だと感じています。
5-4 推敲マラソン3周目《紙での黙読》
推敲マラソン最終周は、プリントアウトして黙読します。この段階になると、推敲というよりも、文字校正が作業の中心となります。
ところで、出版社や編集プロダクションに勤務した経験がある方なら、「校正はパソコンの画面ではなく、紙に出力して行え」と教えられたのではないでしょうか。
画面で確認していたときは気づけなかったのに、紙にプリントして確認したら、あっさりとミスを見つけてしまった――。“編集者&ライターあるある”だと思うのですが、なんとも不思議ですよね。デジタルネイティブなら、「気のせい」「たまたまでしょ」と思うのかもしれません。私自身、「紙で校正する習慣があるから、紙で校正したほうがミスを見つけやすいのかな」くらいに思っていました。
ところが、「校正はパソコンの画面ではなく、紙に出力して行え」という教えは、科学的(?)にもどうやら正しいようです。この記事を読んだときは「そうなんだーーー!」と、ひざを打った次第。プリントアウトしての推敲、大事です。
推敲マラソンを3周終えたら、原稿をクライアントに納品します。納品後も、校正紙で校正したり、著者の赤字に対応したりといった作業がありますが(ない場合もあります)、原稿はこれでいったんブックライターの手を離れます。いやはや、お疲れさまでした!
NOTE
気がつけば前回の投稿から半年以上経過してしまいました……! 反省。

