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ブックライターのギャラには3つのパターンがある
初対面の方や、学生時代の友人に職業を聞かれて「ブックライターです」と答えると、たいてい「……ふーん?」という、わかったようなわからないような、なんともいえないリアクションをされます。
ただ、ごくまれに、「ブックライターって本を書く人でしょ。じゃあ印税生活だ。もうかるんでしょ?」といわれたりして、これはこれで返答に困ります。印税をもらうこともあるけれど、もらわないこともあり、なにより、「もうかっている」という実感はあまりないからです。生活できるくらいの収入はあるものの、左うちわな生活にはほど遠い……。
というわけで今回は、ブックライターのギャラの相場について書いてみます。この記事が、ブックライターに発注・依頼しようと考えていてギャラ設定に悩んでいる方や、ブックライターに興味があるけれど食べていけるのか心配な方のお役に立てば幸いです。
さて、ブックライターへのギャラの支払いには、次の三つのパターンがあります。
①印税のみ
②原稿料のみ
②印税+原稿料
それぞれの詳細やメリット・デメリットを順に説明していきます。
パターン①あこがれの印税ライフ
パターン①は、ギャラがすべて印税で支払われるケースです。そもそも印税とは、
書物やレコードの発行者が、その発行部数・定価などに応じて、著者や作詞家・作曲家・歌手などに支払う金銭。 三省堂 大辞林 第三版
と定義されます。
出版業界では、定価の約8~10%が印税になることが多いようです。たとえば、ある書籍の定価が1000円で印税率が10%だとしたら、1冊あたりの印税は100円。この100円に発行部数をかけた金額が著者へ支払われます。発行部数が5000部なら50万円です。
著者が自分一人で原稿を書いたなら、50万円がそのまま著者の取り分になります。ブックライターが参加している場合は、著者とブックライターとで印税を配分します。配分の比率はケースバイケースで、著者60~80:ブックライター40~20くらいでしょうか。
定価1000円、印税率10%、発行部数5000部、著者とブックライターの印税の配分が7:3の場合は、
●著者のギャラ 35万円
●ブックライターのギャラ 15万円
となります。
思ったより少ないと思いませんか? そうなんです。人気作家の小説や、バカ売れしている本は別として、出版不況の昨今、「とりあえず初版は5000部で様子を見ましょう」となることは珍しくありません。本が増刷されず初版5000部で終わってしまった場合、ブックライターの収入は15万円。書籍の内容やボリュームにもよりますが、この金額では割に合わないというのが正直なところです。
ただ、印税には増刷というロマンがありす。初版と増刷とでは印税率が異なることもありますが、仮に同じだったとして2000部増刷されたとしましょう。この場合、ブックライターのギャラは6万円。初版分と2刷分をあわせたギャラは21万円になります。さらに3刷、4刷と増刷が重なれば、それだけギャラも増える。支払いが印税で、自分がブックライティングした書籍がAmazonで順調にランキングを伸ばしていくのを見ると、なんというかこう胸熱です。
印税には一攫千金の可能性がある。ゆえに「印税=もうかる」というイメージが世間にはあるのかもしれません。けれども残念ながら、初版で終わる書籍も少なくないのです。厳しいですね。
パターン②印税なしの原稿料のみ
パターン②は、著者への支払いは印税で、ブックライターへの支払いは原稿料となります。私が経験した限り、著者が複数いる場合や著者が著名人の場合、編集プロダクションが間に入っている場合は、このパターンがほとんどです。
著者が複数いるケースというのは、ダイエット本、レシピ本などの実用書によく見られます。たとえばダイエット本。監修は医師が、レシピ制作は管理栄養士が担当し、表紙には二人の名前が書かれている本を見たことがある方もいるでしょう。こうした場合、印税は医師と管理栄養士への支払いにあてられ、ブックライターは原稿料のみになりがちです。
原稿料の相場は書籍のボリュームやジャンルによってさまざま。私の場合も、10万円~60万とけっこう幅があります。支払いは原稿料のみなので、印税のように「増刷がかかるほどにもうかる」というロマンはありません。一方で、支払いが印税のみで増刷がかからなかった場合と、支払いが原稿料のみの場合を比較すると、後者のほうが収入が多くなる可能性があります。
パターン③印税も原稿料ももらえる!
印税と原稿料、どちらももらえるパターンもあります。これはさらに、
●A 初版:原稿料のみ / 2刷以降:印税
●B 初版:原稿料+印税 / 2刷以降:印税
のケースがあります。AとBの違いは初版から印税をもらえるかどうかです。
印税も原稿料もらえれば、ライターとしては食いっぱぐれる心配がなく、なおかつ、収入アップの期待もできるという、ある意味理想の支払いパターンかもしれません。ただ、このパターンでライターに支払えるのは、資本力のある中堅~大手出版社のみではないでしょうか。私が過去、印税と原稿料の両方をもらったのは、中堅~大手出版社の編集者から直接仕事を受注したときのみです。
ちなみに、印税&原稿料の相場はこんな感じでした。
●初版:原稿20万~35万円、印税0~1% / 2刷以降:印税2から3%
売れっ子ブックライターはどれくらいかせいでる?
今回ご紹介した相場は、あくまでも私の経験にもとづいた数字です。「なんだ、たいしてもうからなそう」とがっかりさせてしまったら面目次第もありません。でも、安心してださい! この世の中にはちゃんともうかっているブックライターさんだっています。
「ブックライター ギャラ」「ブックライター 相場」などで検索したところ、
●初版:原稿料40万~50万円 / 2刷以降:印税1~2%
●原稿料1冊40万~100万円くらい
といった記述を見つけました。予算が潤沢な出版社や専門性のある案件、あるいは売れっ子ライターさんであれば、上記が相場なのでしょう。
とはいえ、1冊40万円だとして、1か月に1冊書いたら年収480万円。ものすごく割のいい仕事とはいえない気もします。1か月に2冊以上書けば年収1000万円も可能とはいえ、1か月に2冊以上仕上げるのは、かなりの執筆スピードと体力気力が必要です。おまけに、出版不況でギャランティーは下降気味。「ブックライター=印税で大もうけできる」というイメージとは、現実はちょっと違うかもしれません。
NOTE
以前、ライターの先輩にいわれたことがあります。「ライターになるのは簡単だよ。ライターだって名のれば、誰でもライターになれる。難しいのは、ライターで食べていくこと」と。本当にそのとおりです。ただ食べていくだけでなく、「ブックライターってかせげるよ」と胸を張っていえるよう、もっと精進したいと思います。

