ブックライターになるには?|ブックライター塾に入るメリットを考える

「気づいたらなっていた」が多数派?

今回はブックライターになる方法について考えてみたいと思います。といいつつ、ブックライター仲間がいないため、ほかの方がどのような経緯でブックライターになったのかはよく知らないのです(すみません)。

ただ、現在ブックライターとして活動している人の多くは、「フリーランスのライターとして活動していて依頼された仕事を引き受けているうちに、気づけばブックライターになっていた」のではないかと推測します。私もまさにこのパターンでした。

私は2007年からフリーランスの編集・ライターとして活動していますが、メインの媒体は雑誌でした。ただ、1年だけ、とある出版社の新書部門で業務委託の編集として働いていたことがあります。

その後、結婚を機に静岡に引っ越し。1年ほど経ったころ、新書部門時代の先輩からブックライティングの仕事をしないかと声がかかります。これがブックライティング初仕事です。以降、少しずつ雑誌ではなく書籍の仕事の比重が増えていきました。

ブックライターの募集はかなりレア

現状、ブックライターになるには大きく二つの方法があると思います。一つは、雑誌やWEBなどでライターとしての活動するなかで、出版社や編集プロダクションの編集者と知り合い、書籍の案件を受ける方法です。私のように「書籍のライティングをしてみない?」と声をかけてもらうケースもあれば、自分から「ブックライティングをやってみたい」と売り込む方法も考えられます。

雑誌やWEBのライターであれば、求人広告やクラウドソーシングサイトでライターの求人に自ら応募し、仕事を獲得する方法もありますが、ブックライターの場合はちょっと難しいかもしれません。

ホームページや求人サイトなどで、雑誌編集部がライターを募集しているのはたまに見かけるものの、出版社の書籍編集部がブックライターを募集しているのは見たことがないからです(募集していたらぜひ教えてください。私も応募したいです)。

ではなぜ、ブックライターの募集はないのか。その理由は、「ブックライティングの仕事をはじめて取引する相手に依頼するのはリスクが高い」と編集者が考えているからではないでしょうか。

病気や事故、あるいはそのほかの一身上の都合でライターが急に原稿を納品できなくなった、または、納品された原稿がいまいちだったという事態は、出版業界に数年もいれば必ず経験します。こうした状況に陥った場合、数ページくらいのボリュームなら担当編集者もしくはピンチヒッターのライターがフォローします。

これはつまり、数ページくらいのボリュームであれば、最悪の場合もなんとか切り抜けられるということです。だからこそ、雑誌編集部はライターを募集できますし、応募してきたライターに思い切って発注できます。「はじめてなのでとりあえず今回は2ページだけお願いします」という具合に、あらかじめ少ない分量で依頼しておくことも可能です。

*ライターが急に原稿を納品できなくなった……*
仕事をお願いしたライターさんが納品前に音信不通になり、自分で書くはめになったり、別のライターさんに頼んだりした経験は、編集経験者なら一度くらいはあるはず。私も一度体験しています……。数ベージならなんとか切り抜けられると書きましたが、そもそも人手が足りないから外注しているわけであって、フォローする側は白目になりながら必死でしり拭いをしているのです。

書籍の場合はそうはいきません。書籍のライティングは、雑誌のライティングに比べると制作期間が長くなります。文字量も圧倒的に多くなります。5万字、10万字といった原稿を数日でリカバーするのは無理です。ブックライターが原稿納品前に音信不通になったら――。想像するだけで心臓がギュッとなりますね。

こうした理由から、書籍編集部では、人脈を駆使して人柄や実績がわかっているライターにブックライティングを依頼するのが慣習となり、結果としてブックライターの求人はめったにないという状況になっているのでしょう。

ブックライターへの近道はブックライター塾!?

ブックライターになるもう一つの方法は、ブックライター塾に通って修了することです。私の知る限り、ブックライターになるための塾は現状、「上阪徹のブックライター塾」しかありません。

上阪徹のブックライター塾は、ブックライターの上阪徹と書籍編集者の唐沢暁久が発起人として2014年にスタートしました。(中略) 当塾は、出版界の第一線で本づくりを手がける編集者も多数お招きし、ブックライターとしてのスキル養成を目指す実践塾です。

「上阪徹のブックライター塾」トップページより引用

詳しいカリキュラムなどはHPを見ていただくとして、私が考えるブックライター塾のメリットは三つあります。

ブックライター塾のメリット①第一人者に学べる

ブックライターの第一人者・上阪徹さんに直接教えてもらえる。これがブックライター塾の最大のメリットでしょう。上阪さんは著書『職業、ブックライター。』(講談社)や『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)などでご自身のノウハウを惜しみなく披露されていますが、塾生になればより多くのことを吸収できるはずです。

塾では、自分の原稿をチェックしてもらえる機会もあります。フリーのライターをしていると原稿の改善点を指摘してもらえるチャンスは意外とないので、これは非常に勉強になると思います。

*原稿の改善点を指摘してもらえるチャンスは意外とない*
編集者も時間がないので、わざわざライターに突き返さず自分で修正してしまう人が少なくありません。「このライターさんはちょっと……」と思ったら、二度と発注しないだけ。ライターは次の発注がこなくなってようやく、自分の原稿あるいは対応が先方が望むクオリティではなかったと悟るのです。シビアですね。

ブックライター塾のメリット②仲間ができる

ブックライター仲間ができるのも大きなメリットです。ライター同士が現場で一緒になる場面はほとんどなく、フリーのライター同士が自然に知り合う機会はまれ。「誰かライターさん紹介して」と頼まれて、紹介できる人が思いつかず困ることもしばしばです。

私がブックライターの知り合いがほしいなとしみじみ思うのは、原稿の書き方やクライアントとのやりとりで悩んだとき。気軽に相談する相手がいなくて、一人でもんもんと悩んでいます。

受注が重なって自分のキャバを完全にオーバーしてしまったときも、自分の人脈のなさを恨むはめになります。信頼できる仲間がいれば紹介したり、仕事を分担したりできるのに(もちろんクライアントが承諾してくれればの話です)、心当たりがないのでせっかくの依頼もお断りせざるをえません。非常に残念です。

本人の性格にもよるでしょうが、大人になって、しかもフリーランスになってから仲間をつくるのはそう簡単ではなく、だからこそ、塾に通って仲間ができるのは大きなメリットだと思うのです。

ブックライター塾のメリット③クライアントと知り合える!

上阪さんのブックライター塾では、クライアントつまりは編集者と知り合うチャンスもあります。これも大きな魅力です。もちろん、知り合った編集者から仕事をもらえるかどうかは本人次第。それでも、面識がすでにある相手なら、のちのち営業もしやすいはず。

編集者としても、まったく知らないライターよりは、見知ったライターのほうが依頼しやすいでしょう。さらに、「上阪さんの指導を受けている」という安心感もあるわけですから、仕事獲得の確率はかなり高くなるのでは……?

ライター塾、ライティング塾はいろいろとあるようですが、ブックライティング専用の塾は、おそらくここが唯一です。ブックライターを本気でめざすのなら、入塾するのがじつは一番の近道かもしれません。

NOTE
ここまでさんざん上阪さんのブックライター塾を推してきましたが、私は塾の関係者ではありません。受講したこともありません。けれども、入塾をなん度も検討しており、つい熱く語ってしまいました。